プレゼンテーション報告書

▲じつに丸2年ぶりの開催となった、“リアルイベント”としてのワンフェス。この大看板(巨大サイン)を見た際には、「……本当にワンフェスが帰って来たんだな」と感慨深いものがありました。しかし現実は、新型コロナウイルス(オミクロン株)感染がまだまだ拡大している最中での開催であり、会場の各所では検温や手の消毒などが義務付けられ、非常に「生々しい状況」が見て取れたワンフェスとも言えました


■「第39期WSCプレゼンテーションのアフターリポート」はワンダーフェスティバル2021[秋]オンライン(2021年10月9日(土)開催)の際にすでにテキストを執筆しこのWSC公式サイトにアップしたのですが、2月6日(日)に、じつに丸2年ぶりにリアル開催されたワンダーフェスティバル2022[冬]での第39期WSCプレゼンテーション作品展示があまりにもすばらしいものと化したため(←「自画自賛にもほどがある」等、揶揄してくださっても構いません。でも、そんな揶揄などまったく気にならないほどの、本当にすばらしい展示が成されたのです!)、「当日ワンフェス会場を訪れることができなかった方へ向けた情報共有」という意味も含め、今回は特別に「『ワンダーショウケース』第39期プレゼンテーション報告書 part 2」を綴らせていただきます。
 まずは何より、今回もまたWSCブース(幕張メッセ 4ホール内)へ足を運んでくださった方々、誠にありがとうございました。
 スタッフ一同、謹んでお礼を申し上げます。


■ワンフェス当日に撮影した画像を参照していただければ一目瞭然ですが──今期のWSCにおけるプレゼンテーション作品展示ブースの施工デザインは、これまでとまったく異なる斬新なデザインのブースと相成りました。
 じつは、これはぼくの発案ではなく、海洋堂に所属している施工デザインのスペシャリストである白川重基さんが、昨秋に「WSCはワンフェスの象徴的存在であり限りなく尊いすばらしい企画なのだから、もっと施工デザインを格好良くして、そして、WSCに選出されたアーティストがこれまで以上に誇らしい気分になれるような施工デザインへ改変しましょう!」と提言してくだったことに端を発します。
 その後、白川さんのアイディアを叩き台とし、ワンフェス関連の施工デザインをお願いしている工芸社さんがそれを具現化すると共に、そうして工芸社さんから上がってきた施工デザイン図面をぼくがさらに監修し幾度も改良を加える……という、長期間に亘る非常に手間をかけたコラボレーションを経て、今回のWSCブース施工デザインが決定へと至りました。
 その刷新効果のほどは、ここに掲載する画像をぜひともじっくりと眺め、皆さんなりの感想を抱いていただければ、と思います。

▲3D CADを使ったパース画が存在しないため「……こんな2Dの図面だけじゃ何がなんだか分からないよ!」という方もいらっしゃるでしょうが、我々はこうした2Dの図面を眺めるだけでも施工が仕上がった状態を想像することができ、それを頭の中でぐるぐると回転させて想像することもできるので(こういう仕事を長年続けていると、自然とそういうスキルが育まれてしまうのですよ)、その結果、3D CADを使ったパース画を制作する時間を省いて作業の時間短縮が図れるわけです

▲……はい、というわけでこれが実際の、完全リニューアル化されたWSCブースの光景です。ブースは8面体で構成されており、(上面図面をよく見ると分かりますが)WSCの説明文が書かれた面は他の7面よりも700mmほど前に張り出していて、『2001年宇宙の旅』のモノリスのように見えるような感じに仕上げました。こうすることで、この700mm前に張り出した面が同ブースのエントランス的役割を果たしているわけです。ちなみに水玉螢之丞先生画によるワンダちゃんの等身大パネルが不織布マスクを装着しているのは、宮脇センムによるアイディア。センム、ナイスアシストです!

▲今回WSCブースが8面体構成になったことで非常によろこばれたのが、「WSCプレゼンテーション作品の撮影がしやすくなった」という点です。以前のように、3つの作品展示ケースが狭い間隔で一列に横並びしていた状態だと、確かに撮影しずらかったですよね(←そんなことにすらこれまで気付けなかったオレはただのバカだ!)。これはアマチュアディーラーさんからも大変好評で、自分の卓を長時間離れることができない立場からすると、WSCブースをぐるっと1周するだけで作品撮影があっという間に終了するというのは非常に合理的であったようです。……しかし、プレゼンテーション作品画像を高さ3,600mm=3.6mまで引き伸ばしたユポ紙(フィルム法合成紙)の存在感は「抜群」のひとこと。10m先からでも充分目視できますし、「WSCアーティストがこれまで以上に誇らしい気分になれるような施工デザイン」という当初のコンセプトも見事クリアできたと確信しています

▲WSC#105 Sagata Kickのプレゼンテーション作品『Brains & Brawn』と、WSC#106 ココハチのプレゼンテーション作品『梅真寺 小毬丸』は4月8日(金)まで一般販売が継続されているため、作品展示ケースには「このQRコードから(海洋堂ONLINE STOREにて)プレゼンテーション作品を購入することが可能です」という注意書きが添えられたQRコードを貼らせていただきました。というわけで4月8日(金)まで、海洋堂ONLINE STORE、ホビーロビー東京、ホビーロビー門真ではこの2作品が購入可能です。まだ時間はたっぷりありますので、購入を悩んでいる方はあせらずゆっくりと結論を出してくださいね


■ちなみに今冬のワンフェスは、新型コロナウイルス(オミクロン株)の爆発的な感染拡大の最中に実施されたため、急遽参加を取りやめたアマチュアディーラーの方が相当数存在しました。「感染リスク回避」はまさしく自己判断そのものなので参加取り止めは残念ながらまったく仕方がないことだと思った反面、結果的には、ぼくとしては逆に有意義なワンフェスと化しました。
 というのも、普段は参加アマチュアディーラーの数が膨大すぎて「次期WSCアーティストの最有力候補者」としか名刺交換や会話ができないのですが、今回は、たとえるならばミシュランガイドのビブグルマンのような、「もう一段階成長すればWSCに選出することができますよ」という造形作家さんたちとも名刺交換やかなり突っ込んだ会話をすることができたのです。
 しかも、「どうして現段階ではあなたのことをWSCアーティストとして選出することができないのか?」という明確な理由や、「ここをこう修正したり、こういう箇所の造形はこういったことを念頭に置いて造形すれば必ずもっと造形スキルが伸びるはず」といった具体的なアドバイスもたくさん助言させていただくことができたので、次回=夏のワンフェスではおそらくちょっとしたビッグバンが生じるはずです(要は、WSC選出規準を越えた造形作家さんが続出し、その中からWSCアーティストたちを選定することで頭を悩ませることになるのだろうな、と)。
 というわけで夏のワンフェス開催が早くも楽しみで仕方がないのと同時に、よい意味で怖くもあります(苦笑)。


■あと、今回久しぶりに「リアルイベントとしてのワンフェス会場」を歩いていて感じたのが、「過去にWSCへ選出した歴代WSCアーティストたちの造形スキルがすくすくと伸びやかに(しかし、とてつもない勢いで)成長している事実を確認することができる楽しさ」でした。
 実際のところ、じつは「あまりにもその成長具合がものすごいので、二度目のWSC選出もアリなんじゃないか?」と思っていた歴代アーティストも存在しているのですが、そうした考えを覆すすばらしい新進造形作家が続々と現れてきてしまっているので(これはまちがいなく、ZBrushを筆頭とした3DCGデジタルモデリング環境からの恩恵ですね)、「二度目のWSC選出」という夢(?)は叶いそうにありません。
 ただし、そうした急成長を遂げている歴代WSCアーティストの造形作品を、“WSCプラス”ブランドにてPVC製塗装済み完成品化するアイディアも始動しはじめました。少々時間はかかると思いますが、そちらのほうへも期待しておいてください(もっとも、まだ企画が完全決定に至っていないため、仮に中止になってしまった場合はご了承いただければ幸いです)。

▲左から、WSC#004 射尾卓弥(2000年冬選出)、WSC#071 にのみやあきこ(2014年冬選出)、WSC#087 クッカ(2017年夏選出)の、今冬ワンフェスに出展された最新作。誰が見ても一目瞭然だと思いますが、WSC選出時よりも数段造形が上手くなっている! ちなみにWSC#087 クッカによる「多層的デザインの創作ロボット」はこれがラスト作品になるそうで、この先は、ZBrushを駆使し新たな路線を模索するとのこと。……いや、ちょっと待て! この新作の、多層的デザイン創作ロボットのラスボス的な作品までは、手作業で原型製作を続けて来たっていうこと!? こんな複雑なデザインを、手作業で左右対称を出すなんて……「すごい」と言えば当然ものすごいけれど、「……バカなんじゃないの!?」という気がしなくもないですな(苦笑)

▲なお、WSC#026 小林 真(2005年冬選出)は未だにWSCプレゼンテーション作品であった『メイフェア』を販売し続けていることを不思議に感じたので本人にその旨を尋ねてみたところ、「いや、じつは未だにコレがよく売れるんですよ」とのこと。その言葉に「……もしや!」と思い、「それって要は、小林くんがWSCに選出されてからもう17年も経っているので、もうその時のことを知らない若い世代のお客さんがたくさんいるっていうこと?」と問い合わせてみたら、まさしくビンゴ! しかも小林曰く、「『小林さん、絶対にWSCに選ばれなくちゃおかしいですよ! このメイフェア、それぐらい素晴らしい作品なんですから!』と言ってくださるお客さんが多くて……」とのこと。もう、これにはさすがに爆笑するしかなかったですw


■最後に──夏のワンフェスにて発表される第40期WSCアーティスト3名は、ワンフェス会場をひと筆書きで練り歩いていた時点ですでに(ほぼ)決定してしまいました。あとは諸条件を詰めるのみです。
 というわけで、次回のワンフェスでもすばらしく、そしてとてつもない才能を皆さんにお見せすることができることを固くお約束しておきます。
 それでは夏のワンフェスにて再見、です!