WSC #026 小林 真 Makoto KOBAYASHI [Long Long] 専業原型師だからこそ見つけることができた 「商業原型は“お仕事造形”だけど、ワンフェスなどのイベントで発表する個人作品は“趣味の造形”。同じ原型製作でも、やっていることはまったく違うんです」とかなんとか語るようなヤツに限って、「ええっと……で、どっちがお仕事造形で、どっちが趣味の造形なんですか?」と尋ね返さないと、それらふたつの判別がまったくつかないというようなケースが多い。「一般流通が難しそうなマイナーな題材を扱う=趣味の造形」などというレベルの話であれば、当人以外からすれば「そんなこと知ったこっちゃない」わけで――。 |
text by Masahiko ASANO |
こばやしまこと●1977年4月27日生まれ、静岡県出身(←出身地記述は本人のこだわり)。小学校低学年時にガンプラブームの直撃を受け、中学までは模型製作に熱中。ただし、高校入学後に「自分はオタクなんだ」という事実を初めて自覚し、“隠れオタク”的スタンスまでオタク趣味を後退させた結果、模型との接点は限りなくゼロへと近付く。その後、ファッションやアートなどへ開眼、美大(グラフィックデザイン課)へ進学するも、2年生のときにたがが外れ、それまで抑圧していたオタク趣味が大爆発。「自分が本当にやりたかったことはこれだったんだ!」と気付き、ロボットの絵を描きまくったり、フィギュア製作へのめり込み、「卒業後は専業原型師になるしかない」というビジョンを固めていく。'99年、大学4年生のときにJAF・CONとワンフェスへディーラー参加を試みるも、いわゆる「版権落とし」を経験。落ち込みまくっていたところに運よくコトブキヤから声をかけられ、'00年に商業デビューを飾る。“Long Long”名義でイベントへディーラー参加しはじめたのは、'01年のC3が最初で、ワンフェスへは'02年[冬]から。本人的には、「30歳まではいまのスタイルのまま突っ走りたい」とのことである。 |
Webサイト ■ http://ameblo.jp/longlong-lab |
WSC#026プレゼンテーション作品解説 |
メイフェア ※1/8(全高200mm)レジンキャストキット ■ 商品販売価格 (※販売は終了しています) プロ原型師としてすでに各方面にて活躍中の小林 真が、'04年夏のワンフェスにて発表し、大きな注目を集めた異色作“メイフェア”。小林自身のデザインによるこの創作キャラクターが、小林のプレゼンテーション作品となります。サイエンスフィクションとゴシックホラーを足して2で割ったような、独特の様式美とその物語性はもちろんのこと、商業原型仕事で見せる表現とはまるで異なる、スピード感溢れる荒々しいまでのタッチにも要注目。小林が原型製作を手掛けた、ていねいに磨き込まれた商業作品(一般流通商品)をお持ちの方は、ぜひともメイフェアと見比べていただきたいところです(おそらくは、「これらを同じ人間が手掛けたとは思えない……」と唸ること必至でしょう)。 |
小林 真からのWSC選出時におけるコメント |
ストレス社会ですね。最近はなるべく、くまさんやアルプス山脈のことを考えるようにしています。鳥のむくむくした首まわりも好きです。癒されます。 |