WSC #037 アキヒロ Akihiro [中吉や!] 絵が描ける人間が造形を手掛ければ必ず開花する アキヒロのことを長々と論じるのは難しい。 ■そもそもの属性は“絵描き”。いま現在も某ゲーム制作会社にて日々絵を描くことを生業としている ある意味、順風満帆そのものである。 なんにせよ、絵描き上がりの造形作家たちがガレージキットシーンを(力量的に)席巻する瞬間は確実に近付いている。また、『コミックマーケット』において版権作品系エロパロ同人誌と作家オリジナルの同人誌が等価に機能していることと同様に、“創作系”というジャンルが版権キャラクターのキットと肩を並べるのも時間の問題だろう。そしてそれは、「精巧で出来のよい版権キャラクターのキットを自分で作ってしまおう」という地点をスタートとしたガレージキットという表現形態が、真意でのオリジナリティを獲得する瞬間でもある。
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text by Masahiko ASANO |
あきひろ●1968年1月19日生まれ。父親が鉄道模型やプラスチックモデルを趣味としていたため、小学校時代からエアブラシ塗装まで含めた本格的な模型製作に勤しむ。中学1年生のときにガンプラブームを体験、模型雑誌も読みはじめるが、「ぼちぼち買ってぼちぼち作った」程度。高校卒業後、幼少期から絵を描くことが好きだったこともあってデザイン専門学校のグラフィックデザイン科へ進み、ゲーム制作会社へ就職。フィギュアに関しては客観視を続けていたのだが、『新世紀エヴァンゲリオン』のブーム後からガレージキットフィギュアの完成度が飛躍的に向上しはじめた事実を肌で感じ取り、徐々に存在を意識しはじめる。その後、模型雑誌のワンフェス特集号に掲載されたWSC#006 臼井政一郎のキャミィに触発され、一般入場でのワンフェス参加を初体験。'02年からいよいよフィギュア造形へ着手し、'03年[冬]より“中吉や!”名義にてディーラー参加し続けている。現在もゲーム制作会社で勤務しているが、「造形特有のおもしろさに激ハマり中」とのこと。 |
WSC#037プレゼンテーション作品解説 |
ぺたんこナース・ペンネさん ※WSCアーティスト自身による創作(オリジナル)キャラクター ■商品販売価格 そもそものポジションは、美少女イラストを得意とする「絵描き」。絵を描くことだけで満たされていたはずの「キャラクターを生むよろこび」が、ワンフェスとの遭遇により次第に変化しはじめ、2Dデザインとその3D化をひとりでこなす楽しさに魅了されていく――そんなスタイルでWSCまでたどり着いたアキヒロ。プレゼンテーション作品“ぺたんこナース・ペンネさん”は、もちろんアキヒロ自身の手による創作キャラクターです('06年[夏]のワンフェスでは未完成状態での展示のみであったため、WSCでの販売が初売りとなります)。 |
アキヒロからのWSC選出時におけるコメント |
私が避けて通りたいことのなかに「文章を書く」というものがある。 いまから5年前ぐらいかな、ワンフェスに初めて行ったのは(それまでは雑誌で見ているだけでした)。写真で見ているだけでも「最近のフィギュアはすごいな」と思っていたのだが、実際に会場に行って生で見てから「自分でも作ってみたい」という気持ちがむくむくと起き上がってきて、知り合いに「どうやって作るの?」と聞いたり、ネットで調べたり、本を読んだりして実際に作りはじめました。ま、やはりと言いますか、最初は「何これ!?」なものでしたが。れもんとか頭のなかにある「こういうかたちにしたい」という願望をかたちにするべく、せっせと削り続け現在に至っています。そして、いまになってもまだ、頭のなかにあるイメージへ近付けるスキルは身に付いていませんが……。毎回ほかのディーラーさんの作品を見るたびに「俺ヤベーなー」という気持ちになるんですよね。そのたびに自分のなかにある合格ラインを一段上げ、そのラインを超えられるように次の作品を作り、そしてまた「俺ヤベーなー」と同じことを繰り返す。いつになったら自分の満足したものが作れるのかまったくわかりません。永久に作れないかもしれませんが、これからも創作(オリジナル)系のフィギュアを、満足できるものを作れるようがんばっていきた……ダ、ダメだ! もう俺の頭の限界でこれ以上は文章が書けないっ! |