![]() ![]() |
![]() |
![]() WSC #085 あいし [うねり階段] 「超秀才型」ゆえになかなか越えられなかった壁 「センスがよくて一見天才型に思えるのだが、じつは器用貧乏な超秀才型」。'12年冬のワンフェスにあいしが出品した、ひょろひょろと細身にアレンジされた初音ミクを見た際に、ぼくは彼の資質をそのように捉えた。実際にその後も次期WSCアーティスト候補としてチェックし続けていたのだが、どうしても最後の一線を飛び越せない期間が長らく続く。「……もしかしたら、美術的表現における何かしらのコンプレックスが彼の足を長らく引っ張っているのではないか?」。そんな思いを漠然と抱きつつも、今回のプレゼンテーション作品となった“シンシャ”がWSC選出基準をいよいよもってクリアしたため、ようやくあいしをWSCアーティストとして選出するに至ったというわけだ。 |
![]() |
text by Masahiko ASANO |
![]() |
あいし●1988年1月27日生まれ。小学3年生のときに『新世紀エヴァンゲリオン』ショックを体験、同4年生から『月刊ホビージャパン』を購読しはじめるなど、幼少期からエリートオタク街道へ一直線。その素地には「父親が本格的な鉄道模型マニアであったため創造的なオタク趣味への理解度が高かった」という恵まれた環境が存在した。ただしその後は部活動が忙しく一旦その手の世界を離れるも、高校へ進学したのち友人に引きずられるかたちでオタク趣味を再開。大学は理工学系水産学科のある大学へ入学し生物系研究者の道へ進むことを夢見たのだが、その過程で「何かが違う」と断念。結果、就職はあきらめ「フリーターになり趣味としての造形活動を続ける」という道を選択する。ワンフェスへは大学在学時の'06年冬に初めて一般参加し、その後、実験的な造形こそトライしたもののひとつも作品を完成させた経験のないままディーラー参加を申請し、'08年夏に“うねり階段”名義にてディーラー活動をスタート。プロ原型師を夢見つつも、一筋縄では行かぬ独自路線の探求に明け暮れる日々を過ごす。 |
![]() |
Webサイト ■ http://unerikaidan.web.fc2.com |
![]() |
WSC#085プレゼンテーション作品解説 |
![]() |
シンシャ from コミック『宝石の国』 ![]() ■ 商品販売価格 ![]() 野球にたとえるならば、どんな速球や変化球が来ても確実にセンター前へきっちりと打ち返せる打撃職人タイプ。つまりは2番バッターにピッタリの資質を有しているものの、若干、というかどうしても玄人好みであり「造形情弱な人が好む誰にでもわかりやすい派手さ」に欠ける作風ゆえに、その卓越した器用さに対し気付いてもらえる人が少なかったのが“あいし”という存在です。もっとも、プレゼンテーション作品となった『シンシャ』(市川春子原作によるコミック『宝石の国』の登場人物)は「見た目は人間に見えるもののじつは鉱物の一種」という複雑な設定を有しており、さらに、原作の絵柄が相当に特徴的なため立体化する際の解釈の余地があまりにも大きいがゆえ、それを立体化する際に造形作家のセンスが大いに問われるキャラクターであったわけですが、それを見事に表現し切ったいま、彼はまさしく「新進造形作家」と称するに相応しい位置付けに達したと言えるでしょう。 |
![]() |
※あいしからのコメント |
![]() |
こんにちは、うねり階段のあいしと申します。滝本晃司と芦名野ひとし作品を愛する昭和の残党です。 |
![]() |
![]() |