WSC #096 稲葉コウ [ぽらりす] 「稲葉コウって……まさか“あの”稲葉コウ!?」 この人はメカニックデザインにおける足し算(もしくは乗算)と引き算の意味がきちんと理解できていて、そしてこれは、「引き算の美学」を具現化した作品なんだろうな──'17年冬のワンフェス会場にて“RUDOLF”を発見した際、上記のような感想を抱いた。見る人によっては「なんというか……さらっとお気楽に仕上げてくれちゃって」と若干のもの足りなさを感ずるかもしれないが、余計な線を最小限まで削ぎ落とし機体全体が醸し出すシルエットの美しさを前面へ打ち出すと同時に、パネルラインとユニット接合線の凹モールドにきちんと強弱を付けることで造形のメリハリ感を強調。シンプル極まりない習作に見えつつ、そのじつ、これは本人のメカニックデザイナー的資質を端的に表現した肖像画のような造形物に近いのではないか、といった具合だ。 |
text by Masahiko ASANO |
いなば こう●1984年12月16日生まれ。地方在住者であったため民放テレビのチャンネル数が少なく、テレビで見ることのできるアニメの数が少なかったため、小学校高学年時より『フロントミッション』『レイストーム』などのゲームを通じオタク趣味を嗜みはじめる。高校卒業後は宝塚造形芸術大学の造形学部へ進学し、その後、ゲーム制作会社へ就職。ゲームの2Dデザイナーとしての道を歩みはじめ、時間経過と共にメカニックデザイナーとして頭角を現すことになる。そして仕事柄「ガレージキット」「ワンフェス」という言葉をよく耳にするようになり、自分でもフィギュアを作ってみたいという欲が湧き『模型塾』(主催/東海村原八)へ通いガレージキット的造形のイロハを習得。'13年冬のワンフェスから“ぽらりす”名義にてディーラー活動をスタートさせた。また、'12年7月発売の“四八式一型 輝鎚・甲”からコトブキヤの創作系ロボットプラスチックモデルシリーズ『フレームアームズ』のメカニックデザイナーも担当。いまもっとも脂が乗っている、新進気鋭のメカニックデザイナーのひとりと言うことができるだろう。 |
ツイッター ■ https://twitter.com/inaba_koh |
WSC#096プレゼンテーション作品解説 |
RUDOLF from WSCアーティスト自身による創作キャラクター ■ 商品販売価格 コトブキヤの創作系ロボットプラスチックモデルシリーズ『フレームアームズ』のメカニックデザイナーを担当し、いまもっとも脂が乗っているプロフェッショナルメカニックデザイナーのひとりである稲葉コウ。そんな彼がこっそりと(?)ワンフェスへディーラー参加しはじめ、処女ガレージキット作品として発表したのが、この創作系少女型ロボット『RUDOLF(ルドルフ)』です(※写真には2体写っていますが、この2体はディテールはまったく同一のカラーリングバリエーションです)。 |
※稲葉コウからのコメント |
初めまして、稲葉コウと申します。 |