プレゼンテーション報告書

▲今回もまた、ゼロベースで新たにデザインされた施工デザインのWSCブースを採用(撮影時間は前日搬入終了直後の土曜日午後)。「ウルトラ系の秘密基地にように、てっぺんから戦闘機やロケットが飛び出てきそう」という意見もありますが、ご覧のようにブースの中身は空っぽ。残念ながら戦闘機もロケットも飛び出てきませんw


■じつに3年ぶりの開催となった夏ワンフェス。あのやたらと暑く、そして熱い夏のワンフェスが戻って来たことを、まずは素直に祝いたいと思います。
 というわけで、すでに恒例となっております「WSC公式Webサイトという場を使ったWSCプレゼンテーションのアフターリポート」を今回も綴らせていただきます。
 まずは何より、33度オーバーの炎天下の中、今回もまたWSCブース(幕張メッセ 4ホール内)へ足を運んでくださった方々、誠にありがとうございました。
 スタッフ一同、謹んでお礼を申し上げます。


■今回のWSCブースも前回から採用した「WSC作品を魅せる」ことに主眼を置いた新たなブースデザインを採用したわけですが、これが前回以上に大成功。3アーティストのプレゼンテーション作品をカメラに収めるため、とくに午後からは多くの人が完成見本作品の展示に見入ると同時にデジカメで撮影をしまくっていました。


■中でもプレゼンテーション作品が諸事情により販売することのできなかったWSC #108 針桐双一による『DARK SOULS(墓王ニト)』に関しては、その展示ケース前に撮影待ち順の列が生じるほどの人気ぶり。実際に、目視できぬ箇所に自重を支えるパーツがきちんと存在しているとしても、こんなに細くて繊細な骸骨パーツの周囲に人毛製(!)の毛束パーツを巻き付け、設定イラストそっくりの造形作品を作り上げるというその完成見本を目にすれば、針桐の異能者ぶりに驚くしかなかったはず。それゆえに、針桐作品の入った展示ケースの前から動けなくなってしまう人が大勢いたのはある意味当然かと思います。
 《造形作品というものは「塗装まで施された完成見本をじっくりと現場で眺め、その質感や量感等を読み解き初めて評価ができるものである》ため、WSC=秋ワンフェス2021[秋]オンラインからのアーティスト選出を意図的に「1回見送り」にした意味が分かっていただけたのではないでしょうか。

▲「いや……確かに墓王ニトを造形物で表現する際はこれがベストだとは思うけれど、小分けに巻いた人毛を瞬間接着剤使い本体に貼り付けて(巻き付けて)いくの!?」」と驚きざる負えない墓王ニトの組み立て説明図。この方法って確かに「合理的」ではあるんだけれど、針桐曰く、「実際に巻き付けてみるまで、本当に上手くできるかはわからなかった」って……。


■続いてWSC#109 Entei Ryu(エンテイ リュウ)について。
 プレゼンテーション作品である『CROCOGIRL』の販売結果がかなり良好だっただけでなく、どうやらすでに彼女には多くの固定ファンが付いているようで、EnteiRyu(Ryuの個人ディーラー名)で買い物を済ませたのちに、WSCブースへCROCOGIRLを購入するため訪れた人が何人もいたという話を聞かされました。
 「……ワニ? むすっとした表情の美少女? オタクカルチャーとストリートファッションの融合? 意味が分からんわ!」という話になってもまったくおかしくないところ、すでに国籍の垣根を超えた固定ファンが付いていて彼女の新作を待ちわびているという幸福な構造に対し、素直に感動を覚えるばかりです。
 CROCOGIRLは価格を含めなかなかハードルが高い造形作品だと思いますが、この人気ぶり、ユーザー側も多様な造形表現を大いに楽しんでいる端的な証明だと思います。

▲左が2月の冬ワンフェス(ピント抜けしていてスイマセン)、右が7月の夏ワンフェスにけるEnteiRyuブースの風景。……お願いだから完成見本に彩色をして展示しください~。白いレジンキャストだと光がレジンキャスト内で乱反射してしまい、ディテールが全然見えないんですよ~(泣)。


■そして最後にWSC#110 ひいらぎはじめについて。
 「自分のストロングポイントは、設定、デザイン、イラスト、立体化など、創造の全行程を自分が手掛けているトータルコーディネイト志向だと思います。
 というのも……誰かがデザインしたキャラクターやイラストを自分が立体化したとして、そして、それが仮に売れたとして、それって本当に自分の手柄なのでしょうか? それで心の底から納得がいくでしょうか?
 版権モノは、自分ではなく版権元が王様です。どんなに凄い造形物を自分が作ったところで、王様は自分ではありません。自分が王様であるためには創作系タイトル=オリジナル作品しかあり得ないわけです」と語るだけあり、プレゼンテーション作品となった『始皇帝&スイコ』(敵対する機体)の「デザイン&作風の違い」がよく見て取れたと思います。
 彼ほどしっかりと意志を持って造形を続けている造形作家には、こちらから何かアドバイス等を送る意味はなし。アーティスト解説内にも同様のことを書きましたが、『Royal Inner Self』が完結するまであと何年かかるかは分からないものの、それを投げ出さずきちんと完結させることを期待したいです。

▲ひいらぎの創作タイトルである『Royal Inner Self』(ひいらぎの創作タイトルには、レジンキットだけでなくストーリー解説やデザインを紹介する冊子が付属します(冊子は通販サイトBOOTHでも購入できます https://hi-raging-2629.booth.pm/)。造形物だけでなく設定世界にも興味のある人は、ぜひこちらもチェックしてみてください


■というわけで、コロナ禍という問題はまだまだ収まりが付きそうになく、どんよりとした空気は未だ漂い続けていますが、とりあえずは「来冬のWSCプレゼンテーションにて再見!」と言って終わりにしたいと思います。